最近は、ファーストフードなどの安易な食事で済ませ、それを補おうと栄養補助食品を大量に摂取しているような人が増えていますが、食生活をおろそかにしていて、どうして明るく前向きに人生をエンジョイすることが出来るのでしょうか。
一番大切なことは身体に良いとされるものをただ口に入れるということではなく、感動しながら毎日を前向きに生きることだと思います。 『食べる』ということは前向きに生きていくための一番の基本になると筆者は思っています。
とかく日本人は何か健康に良いと言われると、それだけを集中して食べたり飲んだりしてしまう傾向があるように思います。 例えばポリフェノールいっぱいの赤ワインだって、飲みすぎると身体に毒になってしまいますよね。 赤ワインのポリフェノール含量よりもアルコール含量の方が多いのですから当然ですよね。 食品の場合も、特定の食品のとりすぎは望ましくなく、やはり色々な食品をバランスよく食べなければいけません。
医療制度の改正によって、病気にかかるとお金がかかるようになってきました。 これから私たちにとって一番の"Saving Money"はやはり病気にならないことでしょうか。 もう一度原点に帰って食生活を見直してみる必要があるのと思います。
皆さんがふだんなにげなく食べている『食べ物』の中に実は健康を維持するためにとてもステキなアイテムがいっぱいあります。 そのような視点から色々な食材のお話をさせてもらおうと思っています。
昆布(こんぶ)
グルタミン酸を多量に含むのでうまみが強い。 このうまみは、魚肉のイノシン酸と合わせると、相乗効果によって増大する。 体内で甲状腺ホルモンとなり、新陳代謝などの重要な働きをするヨードを100g中200〜1000mgも含んでいます。 食物繊維、b-カロチン、K+(カリウムイオン)なども豊富。 食物繊維:動物が消化できない植物細胞壁成分。(ペクチン、リグニン、ヘミセルロース)
椎茸(しいたけ)
生シイタケも干しシイタケもビタミンB1、B2が多く糖質や脂質が効率良くエネルギーに変換されるのをサポートする、その他食物繊維もかなりの量が含まれます。 1回量では生シイタケの方が効率良く摂取することができます。 共に制癌物質を含むことも分かっています。
干しシイタケの香りは水で戻すと高まり、料理の風味を高めるが、そのうまみ成分グアニル酸はグルタミン酸と合わさると、強い味の相乗作用を示す。 干しシイタケにはプロビタミンDであるエルゴステロールが多量に含まれており、天日乾燥すると紫外線作用でビタミンD(骨粗しょう症に良い)に変わります。 血中コレステロールを下げるエリタデニンも含まれます。
鰹節(かつおぶし)
脂のあまりのっていない春節が、上質とされる。 昔から出汁汁とりに欠かせないもので、うまみ成分はイノシン酸などに由来します。 不足すると下痢や神経痛、不眠などが起こるナイアシンを豊富に含みます。
喜知次(きちじ)
北海道、東北地方ではキンキン、茨城ではアカジ、東京ではキンキと呼ばれる。 白身魚ではあるが、DHA、EPAを比較的多く含む。 タウリンに富み、心臓を強化するとともに、心不全、血栓症、動脈硬化を予防する効果があります。
鮭(しゃけ)
良質のたんぱく質と各種ビタミン類(ナイアシン、ビタミンB1、B2)が多く含まれます。 他の白身魚に比べてDHA、EPAなどの不飽和脂肪酸も豊富です。 ビタミンB2は過酸化脂質の発生を抑えて(活性酸素を除去する)血管の老化を防ぐので動脈硬化の予防にも役立ちます。 シャケの身の赤い色素成分はアスタキサンチンと呼ばれ、発ガン過程で活発に働くリン脂質の合成を抑制する効果があるとされているので、ガンの予防に効果があります。 食材として選ぶ場合にはエラが鮮やかな朱色で赤身の色が退色していないものを選ぶべきです。
鱈(たら)
代表的な白身魚。 たんぱく質を16%も含むのに対して脂肪は0.4%と極端に少ない。 タラは身ばかりでなくその肝臓も美味で鍋に入れるとまろやかな味になる。 このタラの肝臓にはビタミンA、Dが大量に含まれる他、コレステロールを下げたり、心臓の機能を良くするタウリンや肝臓の解毒機能を助けるグルタチオンも含まれます。
牡蠣(かき)
牛乳に匹敵するミネラルをバランス良く含んだ栄養満点の食材です。 ビタミンA、ビタミンB1、B2、葉酸などの重要なビタミン群を多く含む。 鉄それも吸収率の高いヘム鉄の含有量が高くカキの身を8粒食べるだけで一日の必要量の半分が摂取できるのです。 ヘム鉄は赤血球のヘモグロビン、筋肉のミオグロビンなどの構成成分で酸素を細胞に運ぶ働きがあるので、鉄欠乏性貧血を予防、改善する効果があります。 タウリンも多く含むので血管系の疾病の予防効果があります。
その他生体にとって重要な微量金属である亜鉛、銅などもかなり含まれる。 このように非常に重要な成分が含まれているので「海のミルク」とも呼ばれているのです。 カキのシーズンは秋から始まるのでまさに鍋料理には最適な食材。 ただしカキはとても傷みやすいので殻つきの生きたものがベストでしょう。 またカキの殻は牡蠣(ボレイ)と呼ばれ、胃酸過多や不眠などに効く生薬として古くから利用されてきました。
海老(えび)
高たんぱく、低脂肪の食材です。 20%前後を占める良質のたんぱく質にはリジン、トリプトファンなど、穀類に不足しているアミノ酸が多く含まれています。 海産物に多く含まれているタウリンがやはり多い。 殻にはカルシウムが豊富で殻ごと食べることのできるエビはカルシウムの供給源になります。 エビの殻の成分はキチン質と呼ばれる食物繊維の一つです。
キチン質は腸管内の塩化物イオンを吸着して体外に排出させるため、高血圧の予防効果があります。 その他キチン質には免疫力を高める作用があるので癌予防効果があると言われています。 エビの赤い色はシャケの色素成分と同じアスタキサンチンですからガン予防にも効果があります。
蟹(かに)
多くの種類があるが、栄養価はさほど変わらず、低脂肪、低コレステロール食品です。 カニ特有のうまみはグルタミン酸や遊離アミノ酸などの成分によります。 タウリン、キチン質を含みます。
アサリ
縄文時代から活躍した元気の出る食材の一つです。 カキと同じようにヘム鉄が豊富ですから貧血に予防効果があります。 ビタミン群の中ではビタミンB12が多く含まれますからやはり貧血の予防になります。 魚介類に共通に含まれているタウリンも豊富ですし、ミネラル分としてはマグネシウムが多いのが特徴です。 マグネシウムには血管壁へのカルシウムの付着を防ぐ効果があるので血栓や動脈硬化の予防に効果があります。
鶏肉(とりにく)
良質のたんぱく質に富んでおり、脂肪酸は不飽和脂肪酸の割合が多い。 鉄、マグネシウム、亜鉛、銅などのミネラルやビタミンA, ナイアシン, ビタミンB1、B2多く含みます。 手羽元などの骨部分にはコラーゲンが豊富ですから肌のはりとつやを保つ働きがあります。
鶏内臓(とりないぞう)
鶏モツの煮込み料理に使われる鶏の内臓(レバー、ハツなど)はビタミンの宝庫でことにビタミンAは内臓類の中でも最高です。 また、鉄分も多く貧血の予防に役立ちます。 亜鉛、銅、マグネシウムも含まれ、皮膚炎、成長障害を防ぎます。 プリン体が多く含まれますので尿酸値の高い人は避けるべきです。
豚肉(ぶたにく)
バラ肉やロースはエネルギーが多いものの、ヒレやモモは白身魚の鱈よりも低エネルギーです。 コレステロールは牛肉より少なく、ビタミンB1は牛肉の10倍。 その他ビタミンA、Eも含まれます。脂質は牛肉の7倍のリノール酸を含み、良質なたんぱく質源です。 ただ、高温で調理すると発癌物質であるアミノイミダゾアザアレンが多く生じ、大腸癌のリスクが高くなるという報告があるので注意が必要です。
白菜(はくさい)
水分が95〜96%ですが、色々な栄養素が微量ながらまんべんなく含まれています。 ビタミンCやミネラルであるカルシウム、カリウム、マグネシウムの他にアブラナ科(大根、かぶなど)の辛味成分であるイソチオシアネートなども含まれています。 カリウムはナトリウムと拮抗しますから高血圧の予防に効果があります。 アリルイソチオシアネートにはがんや動脈硬化を予防するといわれています。 白菜をたくさん食べて栄養素を効果的にとるためには、スープ煮、煮込み、炒め物、鍋物の具にするのが良いでしょう。 当然ですが食物繊維は豊富に含まれています。
春菊(しゅんぎく)
キク科の代表的な葉菜でb-カロチン、ビタミンB1、ビタミンB2、鉄、カルシウム、カリウム、食物繊維などが含まれていますが、特にb-カロチンの含量が多いのです。 b-カロチンはビタミンAの前駆体として重要であるばかりではなく、生体内で常に生成している活性酸素をトラップする作用があるので、細胞の老化や癌化に歯止めをかけます。 葉菜の中ではカルシウムの含量が多く、牛乳と同じくらい含まれているので骨粗しょう症などの予防に効果的な食材の一つです。 塩(NaCl)かげん控えめな鍋にすると水に溶けやすい成分(例えばビタミンB1、ビタミンB2、カリウムなど)でも煮汁を食べることによって丸ごと摂取できます。
さらに春菊に特有の香りの成分はa-ピネン、ペリルアルデヒドと呼ばれる比較的分子量の小さな揮発性の物質で、胃腸の働きを促進する作用が有り、胃のもたれを解消し、胃酸過多による不快感を取り除いてくれます。 また緑黄色野菜の代表的な葉菜であるホウレンソウ(アカザ科)に比べ、アクの成分であるシュウ酸含有量がホウレンソウの4%ほどしかなく、そのまま食べられるのも大きなメリットの一つです。
キャベツ
代表的なアブラナ科の葉菜である生キャベツにはキャベジン(ビタミンU)が大量に含まれる他、キャベジンと同じ作用を持っているグルタミン酸が大量に含まれるため、胃炎や胃潰瘍の予防に大変効果的であるとされています。 また、ビタミンCやカルシウムも比較的多く含まれており、ビタミンCは春菊の2倍、カルシウムはグリーンアスパラの2倍に及びます。 美肌効果や、イライラを解消する働きがありそうです。 その他にインドール化合物やイソチオシアナートなどが含まれており、これらはビタミンCとともにガン予防に大きな効果があります。 食物繊維も当然豊富です。
葱(ねぎ)
ネギには大きく分けて白い部分の多い「根深ネギ」と全体が緑色の「葉ネギ」と呼ばれる2種類がありそれぞれ少しずつ含まれているものの割合が異なります。
「葉ネギ」:緑の葉にはカロチンやビタミンCが多く、カルシウムやカリウムなどのミネラル分も豊富に含まれており、緑色の濃い葉ネギに含まれるカロチンの量はグリーンアスパラを上回っていますし、ビタミンCの量もアボガドを上回っているのです。
「根深ネギ」:特有の刺激性の芳香のもとは硫化アリルという硫黄原子を含む低分子有機化合物のせいなのですが、この硫化アリルという化合物には殺菌作用や抗菌作用、身体を温める作用があるのでかぜの予防に非常に適しています。また血液をサラサラにする作用もあるので、血栓の予防効果も期待できます。 さらに硫化アリルは消化液の分泌を促し、食欲を増進させ、肉や魚の生ぐささを消す作用もある他、体内でビタミンB1と結合してその吸収を良くするのでエネルギー代謝をスムーズにするので疲労回復にも役立ちます。
セリ
春の七草の一つで、古代からリウマチ、神経痛、血圧降下に薬効があるとされてきました。 カルシウム、カロチン、ビタミンC が多く、増血を促す葉酸,鉄なども含まれます。 これらの成分の生理作用に関しては上記に記載してある通りです。
大根(だいこん)
大根をすりおろすと組織が分解され、酵素の働きによって辛味を生じます。 この辛味成分は山葵のそれに似ていますが、その化学構造が微妙に異なるため、舌にピリピリくる独自の辛味となります。 根部に消化酵素アミラーゼ(ジアスターゼ)とビタミンCが多量に含まれる他、葉にはカロチンがいっぱいです。 根部を食する時はアミラーゼ(ジアスターゼ)とビタミンCが熱に弱いのでダイコンおろしなどの生食がよいのです。
人参(にんじん)
代表的な有用成分は、なんと言ってもb-カロチンです。 b-カロチンは動物体内に取り込まれるとビタミンAに変化するのでプロビタミンAとも呼ばれ野菜の中でずば抜けて高い量なのです。 ニンジン1/2本(80g)で大人一人の一日あたりの所要量の1.5倍に達する量のb-カロチンが含まれているのです。 また「ニンジン」にはb-カロチンの他にa-カロチンという物質も含まれており、数ある野菜の中の「カロチン大将軍」と言っても良いでしょう。 カロチン類には生体内で発生するフリーラジカルをトラップする働きがあるので、癌予防に効果があります。
その他にも視覚、聴覚、生殖機能維持、免疫機能を高める作用も報告されています。 カロチンは水には溶けず、油に溶けやすい性質がある上に比較的熱に対して安定であるので、油を使って調理する方が効果的にカロチン類を摂取できます。 その他に食物繊維ペクチンも含有されており、余分な中性脂肪を体外に排出する働きがありますから、血管を正常な状態に保ち、高血圧、動脈硬化の予防にも役立ちます。 ニンジンにはビタミンC失活させるアスコルビナーゼという酵素が含まれているので生食は避けるべきです。 もっとも鍋に使う時には熱をかけますから、この心配は全く必要ありません。
豆腐(とうふ)
マメ科大豆の種子から作られる豆腐は食物繊維以外の大豆の効用をほとんど受け継ぎ、しかも大豆よりも消化吸収が良い機能性食品です。 グリシニンというタンパク質が含まれており、コレステロール値を低下させることが知られています。 ポリフェノールの1つであるイソフラボンという物質も含まれており、これが女性ホルモン様の働きをして、更年期障害や骨粗しょう症の予防にも役立つ他、最近では、このイソフラボンと大豆サポニンという物質が大腸癌、乳癌、前立腺癌などの発生率を低下させているという報告もあります。 ビタミンEには抗酸化作用もありますし、大豆レシチンが血液中のコレステロールが固まるのを防いで血液をサラサラにし、脳の働きを活発にする働きもあります。 その他鍋に使われる厚揚げや味噌なども大豆製品の一種であり、効能はほとんど豆腐と同じと考えて良いです。
糸こんにゃく
体内で消化されない食物繊維の一種、グルコマンナンがほとんどの成分です。 その他サトイモ科の植物から作られるのでカリウムが豊富に含まれています。 グルコマンナンはほとんど消化吸収されないため、腸の働きを活発にし、便をやわらげて排便を促します。 同時に老廃物や癌細胞などを作り出す毒素を吸収しながら腸内を移動して、最後はそのまま体外に排泄してくれるので、大腸癌の予防に有効です。 またグルコマンナンは、腸からのコレステロールと糖質の吸収を抑えるため、コレステロール値や血糖値の急激な上昇を防ぎますし、腸内で膨張しながらゆっくり移動していくために早く満腹感が得られるので、食欲をセーブして肥満の予防にも効果があります。